太陽光発電量の計算方法
発電量は「パネル容量×日射量」の定義から出る恒等式で計算できます。MJ/㎡をそのまま掛けると3.6倍になる罠、気象庁「月平均値」が実は1日あたりの罠、損失率に一律係数が無い理由を出典つきで解説します。
発電量は「容量×日射量」という定義から出る
太陽光パネルの定格容量は、日射量1kW/㎡の光を当てたときの出力として決まっています。つまり1kWのパネルは、1kW/㎡が1時間続けば1kWh出します。
だから「日射量3.97kWh/㎡の1日」なら1kWあたり3.97kWh、という定義から出る等式になります。
発電量(kWh)= パネル容量(kW)× 日射量(kWh/㎡/日)× 日数
これは製品の性能差に依存しない恒等式です。メーカーや機種ごとの係数を置かずに計算できるのはこのためです。5kWのパネルで東京2025年の年平均値(3.97kWh/㎡/日)なら、1日19.9kWh、365日で7,249.3kWhです。
実際の数値で計算するなら太陽光発電量計算を、ある月を深掘りするなら太陽光月間発電量計算を、12か月をまとめて見るなら太陽光年間発電量計算を使ってください。いずれもこの同じ式を中で使っています(使い分けは後述)。
日射量の単位を間違えると3.6倍になる
日射量の公表単位は2つあり、出典で違います。
- 気象庁 過去の気象データ検索、NEDO METPV-20:MJ/㎡
- NEDO MONSOLA-20:kWh/㎡
1kWh=3.6MJなので、MJ/㎡の値をそのまま掛けると結果が3.6倍になります。しかも式としては成立してしまうので、間違えてもエラーになりません。換算式はNEDOの日射量データベース解説書(p.16)に「1 kWh=3.6 MJ/1 MJ=0.278 kWh」と記載されています。
東京の2025年 年平均14.3MJ/㎡/日は、14.3 ÷ 3.6 = 3.97kWh/㎡/日です。単位ごとの出典と読み方は日射量データベースの単位にまとめてあります。
気象庁の「月平均値」は1日あたり
気象庁の表題は「月平均値」ですが、中身は1か月の合計ではなく1日あたりの平均です。ここを取り違えると発電量が約30分の1になります。
東京の2025年7月は21.6MJ/㎡/日で、これは7月31日間の平均です。月間の発電量はこれを31日ぶんに積み上げた930.0kWh(5kW・損失0)になります。1か月合計として読んでしまうと、1日分しか計算していない現実離れした値になります。
気象庁のページを開いて「年の値」を確認するときも同じです。14.3MJ/㎡(2025年・東京)は「12か月の平均」であって「年間の合計」ではありません。
損失率は一律の係数を持てない
現実のシステムは定義どおりには出ません。影・配線ロス・パワーコンディショナの変換・温度上昇による出力低下で、理論値より少なくなります。
ただしこの減少分は製品と設置条件で変わる経験値です。NEDO・資源エネルギー庁・太陽光発電協会のいずれにも、一律に当てられる公表係数を確認できませんでした。確認できていない値を既定に入れることはしないので、当サイトのツールは損失率の既定を 0(損失を差し引かない理論値)にし、結果には理論値と損失込みの見込み値を両方出します。
15%を入れると、東京5kWの例では7,249.3kWh/年が6,161.9kWh/年になり、差の1,087.4kWhが失われた分です。損失率を0と15%の両方で走らせて差を見ると、前提の置き方で答えがどれだけ動くかが分かります。
方位と傾斜角は損失率側で織り込む
斜面日射量はNEDO MONSOLA-20が持っていますが、閲覧システムが動的生成で、地点別の値を取得できませんでした。取得できていない係数を置いて「南向き30度なら○%減」と書くことはしません。
当サイトのツールは水平面日射量だけを受け取ります。方位と傾斜角の影響は、システム損失率の側でご自身が見積もって入れる形にしてあります。
月別と年間の計算の使い分け
同じ式でも、日射量の粒度によって3つのツールに分かれます。
| ツール | 日射量の入力 | 向いている問い |
|---|---|---|
| 太陽光発電量計算 | 年平均値1つ | 年間の概算をさっと出す |
| 太陽光月間発電量計算 | 地域×月の月別値 | ある月を深掘りする |
| 太陽光年間発電量計算 | 12か月の月別値 | 年間合計と季節の波、地域差を見る |
月間と年間の関係は単純で、月ごとの発電量を12か月ぶん足し合わせた合計が年間発電量です。年間発電量計算はこの足し算を自動で行い、月別の内訳表も同時に出します。
計算の手順
- パネル容量(kW)を決める。定格容量(システム容量)の合計
- 日射量を確認する。気象庁ならMJ/㎡を ÷3.6 でkWh/㎡に換算する
- 「月平均値」は1日あたりの値として扱う
- 損失率を自分の設置条件で見積もる(一律の係数は無い)
- ツールに入れて、理論値と損失込みの見込み値を両方確認する
発電量が分かったら、自宅で使う分と売る分に分けると金額になります。自家消費率と自給率の違いで節約額と売電収入を出せます。売電した分の単価は売電単価の年度別一覧で確認してください。
出典・データソース
- A
[jma-solar-tokyo] 気象庁
過去の気象データ検索|観測開始からの毎月の値(東京・全天日射量)東京(東京都)全天日射量の月平均値(MJ/m²)、1961年〜。値欄に付く記号は半角の「)」「]」(全角ではない)。このページには記号の定義が書かれておらず、下部の「値欄の記号の説明」リンクは観測場所移転を示す赤線の説明だけで値欄の記号には触れていない。年の値(MJ/m²): 2010年 13.3/2015年 13.0/2020年 13.0/2023年 14.7/2024年 13.9/2025年 14.3/2026年 15.1。2025年の12か月は 10.6・14.6・13.4・16.9・15.9・18.8・21.6・19.0・14.4・8.3・9.6・8.5(合計171.6÷12=14.3、年の値と一致)。2026年の「年の値」15.1 は 1〜8月分(11.2・11.7・14.1・15.9・20.4・13.6・17.8・16.1、合計120.8)÷8=15.10 の検算どおりで、9月分は算入されていない。⚠️ 2026-09-09 の再取得で 9月分は 7.6(09-08 取得時)→ **8.1** に変わっていた。根拠は同じページの注記「最新の月のデータは稀に更新されない場合があります。年の数字をクリックして表示される「月ごとの値」もご確認ください」。つまり気象庁自身が直近月の後追い更新を明言しているので、**引用した月の値は取得日を添えないと再現できない**。9月分を年平均に入れて9で割ると 128.9÷9=14.32 で、15.1 にはならない(=算入されていないという結論は変わらない)。⚠️ <td> 未閉鎖の注意は jma-solar-osaka と同じ
アクセス日:2026-09-08
- A
[jma-solar-osaka] 気象庁
過去の気象データ検索|観測開始からの毎月の値(大阪・全天日射量)ページ自身が名乗る題は「大阪(大阪府) 全天日射量の月平均値(MJ/m2)」。1961年〜。年の値(MJ/m²): 2010年 13.9/2015年 13.9/2020年 14.6/2023年 15.0/2024年 14.7/2025年 15.5/2026年 16.7。2025年の12か月は 10.9・12.7・13.7・19.4・18.3・19.5・24.0・20.6・16.5・11.3・10.5・9.0。2026年の「年の値」16.7 は 1〜8月分(10.5・11.5・16.0・15.9・22.2・15.8・21.2・20.4、合計133.5)÷8=16.69 の検算どおりで、9月分 9.5 は算入されていない。⚠️ このページの HTML は <td> を閉じないので、素朴な抽出では「年」と「1月」が1セルに繋がる(例: 19619.2)。<td で割ってから読むこと
アクセス日:2026-09-09
- A
[jma-solar-fukuoka] 気象庁
過去の気象データ検索|観測開始からの毎月の値(福岡・全天日射量)ページ自身が名乗る題は「福岡(福岡県) 全天日射量の月平均値(MJ/m2)」。1961年〜(1970年は空、1971年は「×」)。年の値(MJ/m²): 2010年 12.8/2015年 13.3/2020年 14.0/2023年 14.0/2024年 13.9/2025年 14.4/2026年 16.1。2025年の12か月は 8.3・11.2・13.3・19.8・18.2・16.5・23.2・18.4・13.9・12.4・9.8・7.3。2026年の「年の値」16.1 は 1〜8月分(9.9・11.1・15.3・13.9・22.6・14.5・21.1・20.3、合計128.7)÷8=16.09 の検算どおりで、9月分 12.1 は算入されていない。⚠️ <td> 未閉鎖の注意は jma-solar-osaka と同じ
アクセス日:2026-09-09
- A
[nedo-solar-manual] NEDO(委託先:一般財団法人日本気象協会)
NEDO 日射量データベースの解説書(WEB版 Ver 3.0)テキスト層があり pdftotext で全文抽出可能。表1-1 に統計期間 2010年〜2018年・データ種別・地点数(METPV-20 全国835地点、うち日射量観測地点47か所/MONSOLA-20 全国1kmメッシュ)、表1-2 に旧11系の統計期間。正式名称 MONSOLA=MONthly mean SOLAr radiation data throughout Japan/METPV=MEteorological Test data for PhotoVoltaic system。MONSOLA-20 の斜面日射量は方位角0〜345度・15度刻み、傾斜角0〜90度・10度刻み(※表4-1は「10〜90度」と記載し本文と下限が食い違う)。最適傾斜角は真南向き −10〜90度を1度刻みで算出。統計期間を2010〜2018年とした理由は日照計が2005年頃から回転式へ切替わり2009年に完了したため。p.16 に単位換算「1 kWh=3.6 MJ/1 MJ =0.278 kwh」
アクセス日:2026-09-08
この記事が参照するデータ
よくある質問
- Q. 太陽光発電量の計算式は何ですか
- A. 「発電量(kWh)= パネル容量(kW)× 日射量(kWh/㎡/日)× 日数 ×(1 − 損失率)」です。パネルの定格容量は日射量1kW/㎡の光を当てたときの出力として定義されているので、容量×日射量はメーカーや機種に依存しない恒等式になります。損失率を0にすると損失なしの理論値です。
- Q. 日射量の単位はどれを使えばいいですか
- A. 手元の値の単位に合わせるのが確実です。気象庁とNEDO METPV-20はMJ/㎡、NEDO MONSOLA-20はkWh/㎡で公表しています。1kWh=3.6MJなので、MJ/㎡の値をそのまま掛けると結果が3.6倍になります。式としては成立してしまうので、間違えてもエラーには出ません。
- Q. システム損失率は何%にすればいいですか
- A. 一律の値は示せません。影・配線ロス・パワーコンディショナの変換・温度上昇による出力低下は製品と設置条件で変わる経験値で、NEDO・資源エネルギー庁・太陽光発電協会のいずれにも公表された一律係数を確認できませんでした。メーカー公表の仕様書か実測値を使って、ご自身の条件で見積もってください。
- Q. 方位や傾斜角は計算に入れるべきですか
- A. このサイトのツールは水平面日射量だけを受け取り、方位・傾斜角は計算に入れていません。斜面日射量はNEDO MONSOLA-20が持っていますが、閲覧システムが動的生成で地点別の値を取得できなかったため、確認できていない係数を置いていません。斜面の影響は損失率の側で見積もって入れてください。
- Q. 月間と年間の発電量計算はどう使い分けますか
- A. ある月の深掘りなら月間発電量、12か月の合計と季節の波を見るなら年間発電量です。両者の式は同じで、月ごとの発電量を足し合わせた合計が年間発電量になります。年平均値1つから年間を出す簡易版が発電量計算です。