自家消費率と自給率の違い
自家消費率は自家消費量÷発電量、自給率は自家消費量÷総消費電力量。分子が同じで分母が違う2つの率の意味と計算例、売電単価と買電単価の関係まで出典つきで解説します。
分子は同じで分母が違う
自家消費率と自給率は、どちらも分子に「自家消費電力量」を持ちます。違うのは分母だけです。
- 自家消費率 = 自家消費電力量 ÷ 年間発電量 … 作った電気をどれだけ自宅で使えたか
- 自給率 = 自家消費電力量 ÷ 年間総消費電力量 … 家で使う電気をどれだけ自前でまかなえたか
自家消費率は「発電した電気の使い道」の話で、自給率は「家の電力需要のまかない方」の話です。どちらも「30%」のような数字になりますが、意味していることはまったく別です。
計算例で並べる
発電5,000kWh・自家消費1,500kWh・総消費4,500kWhの家で並べるとこうなります。
- 自家消費率 = 1,500 ÷ 5,000 = 30.0%
- 自給率 = 1,500 ÷ 4,500 = 33.3%
数字は近いですが、出どころが違います。自家消費率30%は「発電した電気の3割を自宅で使った」、自給率33.3%は「家で使う電気の3分の1を太陽光でまかなった」です。この2つを常に並べて計算するのが自家消費率計算です。発電量・自家消費量・総消費量を入れると、両方の率と売電収入・節約額をまとめて出します。
取り違えると何が起きるか
分母を取り違えると、数字の解釈が逆転します。
発電量が小さくても、家の総消費電力量がさらに小さければ自給率は高くなります。逆に発電量が大きくても、家でたくさん電気を使っていれば自給率は低くなります。「自給率が高い=省エネ」とは限らず、「発電が大きい」か「消費が小さい」かのどちらかです。
片方だけ見るとこの取り違えに気づけません。結果画面で2つを横に並べているのはそのためです。
自給率を上げる3つの方法
自給率は「自家消費電力量 ÷ 総消費電力量」なので、分子を増やすか分母を減らすかの2方向しかありません。
- 発電している時間帯に電気を使う … 洗濯や食洗機の稼働を昼に寄せる。追加コストなしでできる
- 蓄電池で昼の余剰を夜に移す … 夜の自家消費が増える。導入コストと効果の比較が必要
- 省エネで総消費電力量を減らす … 分母を減らす。家電の買い換えや使い方の見直し
どれを選ぶかは、家の昼間の在宅状況と電気の使い方で変わります。蓄電池の容量と導入効果の試算は蓄電池の計算ツールで確認できます。
自家消費1kWhの価値は買電単価
自家消費した1kWhは「買わずに済んだ1kWh」です。浮くのは電力量料金だけではありません。
電気料金は、電気事業連合会の説明にあるとおり「基本料金+電力量料金±燃料費調整額+再エネ賦課金」の4層です。このうち使用電力量に比例するのは後ろの3層なので、1kWh減らすと3層ぶんがまとめて浮きます。基本料金だけは自家消費しても減りません。
2026年9月分・従量電灯B・月400kWhの世帯で実際に当てると、第3段階の40.49円+燃料費調整の▲10.96円+再エネ賦課金の4.18円で、33.71円/kWhです。各層の単価は請求書4層の単価で確認できます。
売電と自家消費はどちらが得か
単価を比べれば決まります。買わずに済んだ単価33.71円/kWhに対し、2026年度の住宅用FITは前半4年が24円、後半6年が8.3円です。
8.3円で売るより、自分で使うほうが1kWhあたり25.41円得になります。前半4年の24円と比べても自家消費のほうが上ですが、差は9.71円まで縮まります。つまり売電単価が下がるほど、自家消費を増やす価値は上がるということです。
自家消費を増やしたときの売電収入と節約額の配分は、自家消費率計算で自家消費電力量を変えて比較できます。売電単価の区分と二段単価の段替わりは売電価格の年度別一覧を確認してください。
出典・データソース
- A
[enecho-fit-kakaku] 資源エネルギー庁
買取価格・期間等(2026年度以降)電源別の調達価格・調達期間と ※1〜※17 の注記。表は rowspan を使うため列の読み違えに注意
アクセス日:2026-09-08
- A
[meti-fit-surcharge-2026] 経済産業省
再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します2026年度 賦課金単価 4.18円/kWh、需要家モデル 400kWh、算定根拠の3数値。2026年度以降の買取価格も同一発表
アクセス日:2026-09-08
- B
- B
[tepco-chargelist] 東京電力エナジーパートナー
料金単価表‐電灯|電気料金プラン従量電灯B(税込)基本料金 30A 935円25銭・40A 1,247円00銭・50A 1,558円75銭、電力量料金 第1段階「最初の120kWhまで」29円80銭/第2段階「120kWhをこえ300kWhまで」36円40銭/第3段階「上記超過」40円49銭、最低月額料金 328円08銭。ページに最終更新日表示なし
アクセス日:2026-09-08
この記事が参照するデータ
よくある質問
- Q. 自家消費率と自給率の違いは何ですか
- A. 分子はどちらも自家消費電力量で、分母が違います。自家消費率は「自家消費電力量÷年間発電量」で、作った電気をどれだけ自宅で使えたかを示します。自給率は「自家消費電力量÷年間総消費電力量」で、家で使う電気をどれだけ太陽光でまかなえたかを示します。発電5,000kWh・自家消費1,500kWh・総消費4,500kWhなら、自家消費率30.0%・自給率33.3%です。
- Q. 自家消費率と自給率はどちらが高くなりますか
- A. 発電量と総消費電力量の大小関係で決まります。発電量より総消費電力量のほうが小さい家(発電が多い、または電気をあまり使わない家)では、自給率の分母が小さいので自給率のほうが高くなります。逆に発電量が小さくても、総消費電力量が発電量より大きい一般的な家では自給率のほうが低くなります。
- Q. 自給率を上げるにはどうすればいいですか
- A. 分子の自家消費電力量を増やすか、分母の総消費電力量を減らすかです。具体的には、発電している時間帯に電気を使う(家電の稼働を昼に寄せる)、蓄電池で昼の余剰を夜に移す、省エネで総消費電力量そのものを減らす、の3つです。自家消費電力量を増やすと売電量は減りますが、買電単価が売電単価より高い間は合計で得になります。
- Q. 自家消費した1kWhの価値はいくらですか
- A. 電力量料金単価そのものではありません。電気料金のうち使用電力量に比例するのは電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金の3層なので、1kWh減らすと3層ぶんがまとめて浮きます。2026年9月分・従量電灯B・月400kWhの世帯では40.49+(▲10.96)+4.18=33.71円/kWhです。基本料金は自家消費しても減りません。
- Q. 売電と自家消費はどちらが得ですか
- A. 単価を比べます。2026年度の住宅用FITは前半4年24円、後半6年8.3円です。買わずに済んだ単価が33.71円/kWhなら、8.3円で売るより自分で使うほうが1kWhあたり25.41円得になります。前半の24円と比べても自家消費のほうが上ですが、差は9.71円まで縮まります。