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EV充電ロスは何割か|方式別の効率と計算順

EVの充電ロスは1割に決まりません。家庭用200Vで約11%、100Vで約16%、急速充電で10〜15%という実測の幅があり、失われるkWhと円は走行距離と電費で決まります。効率の置き方と計算順、掛けてはいけない口径を解説します。

公開日:2026-10-12 最終更新:2026-10-12 監修:エネルギー計算ツール編集部

充電ロスは「入れた電気 − 電池に入った電気」

コンセントまたは充電器から EV に入れた電力量と、実際にバッテリーに収まった電力量は一致しません。車載充電器(OBC)が交流を直流に変換する過程と、バッテリーの温度管理に必要な電力で一部が熱になり、バッテリーに100kWh収めるには100kWhより多くを入れることになります。

充電効率(%)= 電池に入った電力量 ÷ 入れた電力量 × 100
失われる電力量= 入れた電力量 − 電池に入った電力量

エネがえるはこの関係を「充電効率85%とは、充電に使った電力量のうち85%がバッテリーに蓄えられ、15%がロスする(無駄になる)ことを意味します」「100kWhの電力を充電に使ってもバッテリーに蓄電できるのは85kWhで、残り15kWh分は熱などの損失として失われる」と定義しています。ロスがそのまま電気代になるのは、請求されるのが入れた電力量(コンセント側)だからです。

何割か — 方式別に分かれる幅

「EV 充電ロス 何割」で出るべき答えは1本ではありません。Japan Energy Times が他機関の実測を整理した表をそのまま引くと、こう分かれます。

充電方式効率ロス率出典側の注記
Level 1(100〜120V)普通充電約84%(平均83.8%)約16%電池に入った量が4kWh未満の短い充電では約26%に増える
Level 2(200〜240V)普通充電85〜95%(平均89.4%)5〜15%120Vより5.6ポイント高い(IEEE 2014・米国実測)
DC急速充電(CHAdeMO 50kW)85〜88%10〜15%車載充電器のロスは迂回できる
高出力急速(テスラ スーパーチャージャー 250kW)90%前後約10%独自最適化による

日本の測定例として、同じ記事は「東京都環境科学研究所が総電力量40kWhの電気自動車を200V・3kWで充電し、給電量に対して約12%のロスを確認しています」とも書いています。これらは grade C の二次整理で、数値の本体は IEEE 2014・INL・東京都環境科学研究所など別の一次測定なので、当サイトは単独の根拠にはしていません。使っているのは「方式によって幅があり、1本の定数にできない」という形の部分です。

エネがえるも同じ立場で「充電効率85%は全車種共通の定数ではありません」「さらに、コンセント側の測定で求めた電費へ効率補正を重ねると、必要電力量を過大に計算します」と明記しています。

計算順:電池側電力量 → 効率で割る → 単価を掛ける

失われる分の金額を出す順序は4歩だけです。月1,000km・電池側電費6km/kWh・効率89%・31円/kWhで追います。

① 電池に必要な電力量= 1,000 ÷ 6 = 166.67kWh
② コンセント側        = 166.67 ÷ 0.89 = 187.27kWh
③ 失われる電力量      = 187.27 − 166.67 = 20.60kWh
④ 失われる金額        = 20.60 × 31 = 639円/月(年7,663円)

電気代の増加率は効率だけできまります(④の金額は単価で動く)。効率90%で11.1%、89%で12.4%、86%で16.3%、85%で17.6%、84%で19.0%です。同じ条件で失われるkWhを並べると18.52・20.60・27.13・29.41・31.75kWh、金額は574円・639円・841円・912円・984円になります。

この4歩を入力式にしておいたのが充電ロスの計算画面です。方式別の効率(100V・200V・急速50kW・急速90kW以上)を選ぶと、自分の走行距離と電費で失われるkWh・円・増加率、そしてコンセント側の実効電費(この例なら5.34km/kWh)まで同じ画面に出ます。下の表に置き場所を書いています。

掛けてはいけない口径が2つある

充電ロスの計算で最も間違えやすいのは、すでにロスを含んでいる電費にもう一度効率を掛けることです。口径は3つあり、掛ける対象は1つだけです。

電費の口径測った場所効率を掛けるか
電池側電費電池に入った電力量で割った走行距離掛ける(これでコンセント側が出る)
コンセント側実測電費請求されたkWhで割った走行距離掛けない(すでに含んでいる)
メーカー公表の交流電力量消費率充電器から入れた交流電力量基準掛けない方が安全(損失を含み得る)

Japan Energy Times は「カタログに載るWLTCモードの交流電力量消費率は、充電器から入れた交流の電力量を走行距離で割った値で、充電時の損失をすでに含みます。カタログの値から電気代を出すときは、ロスを重ねて掛けません」と書き、実測電費側の例として「電費(6km/kWh)は当サイトの仮定で、バッテリーに入った電力量あたりの走行距離です」と区別しています。

エネがえるの口径比較はこうです。「月1,000km、電池側電費6km/kWh、充電効率85%、電力単価30円/kWhという仮定なら、充電入力は1,000÷6÷0.85=約196.1kWh、費用は約5,882円。一方、6km/kWhがコンセント側の実測電費なら約166.7kWh・5,000円です」。同じ6km/kWhという数字でも、どちらの側で測ったかなので金額が変わります。走行コストの計算画面では効率を100%にすれば②の補正なしの口径になり、12,000km・電費8km/kWh・31円/kWhで46,500円/年(3.88円/km)という記事に出やすい形がそのまま再現します。

V2H経由だとロスは重なる

太陽光の余剰電力をEVに蓄えて夜家庭へ戻す使い方をすると、充電(AC→DC)と放電(DC→AC)の変換が重なります。同じ掲載元は「V2H(Vehicle to Home)経由で太陽光余剰電力をEVに蓄えて自家消費する場合、AC→DC→AC変換の重複で合計15〜25%のロスが生じる」としており、中点の20%を仮定に置くと、月1,000km・効率89%のケースで必要電力量は187.27kWhから234.08kWh、実効電費は5.34km/kWhから4.27km/kWhに動きます。追加で失う46.82kWhは31円/kWhで月1,451円です。

V2Hそのものの仕組みとロス以外の論点(容量・補助金の口径)はV2Hとはに置いてあります。

ロスを動かしうる条件と、動かせない条件

この記事までの実測を整理すると、ロス率は「方式」と「充電量」で動き、車種設計でも動きます。

  • 120V/100V 側より 240V/200V 側のほうが効率は良い(実測平均で5.6ポイント差)
  • 一度に充電する量が小さいほどロス率は上がる(4kWh未満の短充電で約26%)
  • DC急速は車載充電器の変換を迂回できるので、OBC側のロスを避けて通れる
  • 車載充電器の変換効率自体は「最新のEVでも約85〜95%程度」(エネがえる)

逆に、ここで動かせないのが公共充電の課金方式です。急速充電は円/分や円/kWhなどプランごとに課金の単位が違うため、ロスぶんの電気代として出す 円/kWh の金額とは土俵が合いません。外出先で実際に払った金額から実質的な 円/kWh を出すのはEV充電料金計算側の仕事です。

計算機と、家計の中の位置づけ

充電ロスは年間数千円〜1万円台の話で、乗り換えの損得より小さい項です。だからこのテーマは3つの画面に分けて置いてあります。

見たいこと使うページ主出力
方式別の効率から失われるkWh・円・増加率EV充電ロス計算639円/月・+12.4%・実効5.34km/kWh
ロスを燃料費と維持費の内訳に混ぜた総額EV走行コスト計算5.81円/km・140,889円/年(維持費込み)
乗り換えで減る燃料費と価格差の回収年数EV燃料費削減計算97,500円/年・回収1.03年

なお「EV 燃料費 削減」で検索上位のスズキ EV Portal には乗り換えシミュレーターがあり、節約できる燃料費を5年間で約◯円という固定期間と、CO2削減量・吸収に必要な本数まで出しています。同社の画面は車両価格差と補助金の回収(何年で元が取れるか)を出力していないので、その回収年数を出す画面として上の3行目に置いた計算機を作りました。

車種別の公表電費・実電費・充電時間はEV充電・電費データに一覧表があります。電費という単位そのものの話はEV電費とはに、自宅の電気請求額への影響はEV電気代計算に出しています。

出典・データソース

  1. [suzuki-ev-portal-simulator] スズキ株式会社(SUZUKI EV Portal)

    EV乗り換えシミュレーター(節約燃料費/CO2排出削減)|SUZUKI EV Portal

    スズキ公式の EV 乗り換えシミュレーターは、走行距離・ガソリン代・燃費・EV電費(Wh/km)・電気料金単価から「5年間で約◯円の燃料費が節約できます」と節約額とCO2削減量を出します。初期値は令和4年度 WLTC モード燃費平均値などで、車両価格差の回収年数は出力に含まれていません

    アクセス日:2026-10-12

    B
  2. [japan-energy-times-ev-charging-loss] Japan Energy Times

    電気自動車の充電ロスは何%?実際の電力消費量と請求額の差

    充電ロスの実測整理では、Level 2(200V)充電の平均効率は89.4%、Level 1(120V)は83.8%(IEEE 2014・米国実測)、DC急速充電は85〜90%、スーパーチャージャーは90%前後とされています。東京都環境科学研究所は200V・3kW充電で給電量に対して約12%のロスを確認しており、米国の120V実測は日本の100Vコンセントで測った値ではない、という注記も同じ記事にあります

    アクセス日:2026-10-12

    C
  3. [enegaeru-charging-efficiency-85] エネがえる(国際航業株式会社)

    EV充電効率85%が家庭の電気代に与える影響と実質走行コストの関係

    エネがえるの整理では、充電効率85%は「100kWh 充電してもバッテリーに蓄えるのは85kWhで、残り15kWhは熱などになる」意味だと説明されています。同時に「充電効率85%は全車種共通の定数ではありません」「コンセント側の測定で求めた電費へ効率補正を重ねると、必要電力量を過大に計算します」とも書かれており、口径の区別が先に必要です

    アクセス日:2026-10-12

    C

この記事が参照するデータ

よくある質問

Q. EVの充電ロスは何割ですか
A. 1つの値にはできません。Japan Energy Times が整理した実測では、家庭用の200V(Level 2)普通充電の平均効率は89.4%でロス約11%、100V(Level 1)側は平均83.8%でロス約16%、DC急速充電は85〜90%でロス10〜15%、テスラ スーパーチャージャーは90%前後とされています。ロスで割り引くと1割から2弱の幅になるので、方式を指定して1本ずつ答えるのが正しい形です
Q. 充電ロスは何kWhですか
A. 電池に必要な電力量と効率で決まります。月1,000kmを電池側電費6km/kWhで走ると電池にはいる電力量は166.67kWhで、効率89%ならコンセント側は187.27kWh、失われるのは20.60kWhです。効率90%で18.52kWh、85%で29.41kWh、84%で31.75kWhに分かれます
Q. 充電ロスはいくらになりますか
A. 31円/kWhで割ると、月1,000kmのケースでは失われるぶんは574円(効率90%)から984円(効率84%)まで並び、効率89%で639円/月、年7,663円です。Japan Energy Times はロス10〜15%で月1,000kmなら年6,700〜10,800円がロス分の電気代になると試算しています
Q. カタログの電費に充電効率を掛けたらダメですか
A. 掛けない方が安全です。メーカー公表の交流電力量消費率は充電器から入れた交流電力量を走行距離で割った値で、充電の損失をすでに含み得ます。Japan Energy Times も「カタログの値から電気代を出すときは、ロスを重ねて掛けません」と書いています。効率が必要なのは、電池から出した電力量で測った電費(電池側電費)のほうです
Q. V2Hを使うと充電ロスは増えますか
A. 増えます。充電(AC→DC)と放電(DC→AC)の変換が重なるため、同じ掲載元は「太陽光余剰電力をV2H経由でEVに蓄えて自家消費する場合、AC→DC→AC変換の重複で合計15〜25%のロスが生じ単純自家消費より効率が低下する」としています。月1,000km・効率89%のケースでは必要電力量が187.27kWhから234.08kWhに増えます