エアコンの電気代を節約する
エアコンの電気代を節約する行動を、資源エネルギー庁が公表する5項目の試算で確認します。設定温度を1℃緩めたときの冷房と暖房の差、1日1時間短縮した差をkWh・原油換算・CO2・円で並べ、自分の機種と単価で置き換えます。
節約の効果は「円」より先に kWh と条件で見る
エアコンの節約を書くページは、たいてい「1か月いくらか」「年間いくらか」という円の数値を先に並べます。資源エネルギー庁が公表している省エネ行動の試算は、1つの行動について 年間で減る電気(kWh)・原油換算(L)・CO2削減量(kg)・節約額(円)の4つをセットで出しています。円だけ写すと、その金額がどの機種の・どの外気温の・何時間の使用を前提にした値なのかを、読み手が確かめられなくなります。
当サイトで使っている口径は次の3つです。
- 金額は kWh × 電気料金単価 で作る。庁の節約額を庁のkWh値で割ると、5項目とも 30.9〜31.1円/kWh に収まります(円列が10円単位に丸められているので、ぴったり31円には割り切れません)。31円/kWhは公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会の「新電力料金目安単価」(令和4年7月改定)です
- CO2削減量は kWh × 0.488kgCO2/kWh、原油換算は kWh × 0.252L/kWh で再現できます。5項目ともこの掛け算の範囲内の値になっています。係数は資源エネルギー庁が「無理のない省エネ節約」で採用している電気事業者別排出係数の代替値です
- 単価は自分の契約プランの値に変えられる。31円は全国共通の目安なので、請求書で確認できる単価がある場合は、その値で置き直したほうが実態に近づきます
資源エネルギー庁が公表する節約行動5項目(エアコン)
資源エネルギー庁の「無理のない省エネ節約」空調の頁に載っている、エアコン(2.2kW)の省エネ行動5項目です。算定条件は各行動の直前に庁が記載している文をそのまま書いています。
| 省エネ行動 | 算定条件(庁の記載) | 年間の電気 | 原油換算 | CO2削減量 | 節約額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 冷やしすぎに注意し、無理のない範囲で室内温度を上げる | 外気温度31℃の時、エアコン(2.2kW)の冷房設定温度を27℃から1℃上げた場合(使用時間:9時間/日) | 30.24kWh | 7.62L | 14.8kg | 約940円 |
| 冬の暖房時の室温は20℃を目安に | 外気温度6℃の時、エアコン(2.2kW)の暖房設定温度を21℃から20℃にした場合(使用時間:9時間/日) | 53.08kWh | 13.38L | 25.9kg | 約1,650円 |
| 冷房は必要なときだけつける | 冷房を1日1時間短縮した場合(設定温度:28℃) | 18.78kWh | 4.73L | 9.2kg | 約580円 |
| 暖房は必要なときだけつける | 暖房を1日1時間短縮した場合(設定温度:20℃) | 40.73kWh | 10.26L | 19.9kg | 約1,260円 |
| フィルターを月に1回か2回清掃する | フィルターが目詰りしているエアコン(2.2kW)とフィルターを清掃した場合の比較 | 31.95kWh | 8.05L | 15.6kg | 約990円 |
出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」空調の頁(2026年9月19日に確認)。表の4つの値は庁が記載しているものをそのまま載せています。
同じ頁のコラムには「毎日、設定温度を1℃下げるだけで、ひと冬で、約1,430円節約!(令和2年2月時点)」の表記もあります。ただし同じ頁の試算が 暖房設定温度を1℃下げた場合の年間節約額を約1,650円 として出しているのに対し、コラムの約1,430円は ひと冬を169日、1日を9時間として算出した 値です。期間の取り方が違うため、この2つは矛盾しません。冬だけを見るなら約1,430円、通年の電気代に換算するなら約1,650円で読みます。
5項目を合計すると年間で約175kWh・約5,400円
5項目の年間の電気を足すと 30.24 + 53.08 + 18.78 + 40.73 + 31.95 = 174.78kWh、節約額は 940 + 1,650 + 580 + 1,260 + 990 = 約5,420円(31円/kWh)です。
ただし、この合計は「全部やれば必ず5,420円減る」という意味ではありません。項目ごとに前提が違い、冷房の設定温度と暖房の設定温度は別々の季節の行為として数えられています。フィルター清掃の行は「目詰まりした状態」と「清掃した状態」の比較なので、もともとこまめに掃除している家では上乗せ分は小さくなります。
参考までに、冷房能力2.2kWの機種群の期間消費電力量(冷房期間と暖房期間を合わせた電力量)の中央値は 717kWh です。上の174.78kWhはこれの約24%に当たりますが、庁の算定条件(2.2kW・1日9時間)と、この中央値が使われている登録データの運転条件は同一ではないので、割合は「5項目を全部重ねても、使っている電気の数分の一」と読む程度の概算です。
設定温度1℃の緩和は、冷房約13%・暖房約10%(環境省)
環境省は家庭部門のCO2排出実態統計調査の解説で、エアコンについて次の2つを記載しています。
環境省では、快適性を損なわない範囲で省エネルギーを目指すために、室温を夏季28℃、冬季20℃とすることを推奨しています(設定温度ではありません)。 エアコン設定温度を1℃緩和した場合の消費電力量は、冷房時約13%、暖房時約10%削減されると見込まれています
2つ目に付されている注記は、この削減率が「財団法人省エネルギーセンター『省エネライフスタイルチェック25』の各種行動と省エネ効果に関する調査報告書(平成17年3月)」に基づく 見込み だという点です。実測値ではなく、平成17年の調査に基づく推計として読む必要があります。
重要な点は、冷房と暖房で削減率が違う ことです。当サイトが2026年9月にこのテーマの上位ページを確認した範囲では、環境省の値を冷暖房に分けて転載しているページは1つだけで、多くは「1℃で約10%」と一括しにしていました。この削減率は平成17年の調査に基づく環境省の見込みなので、実測値ではなく幅のある値として扱うべきものです。
1つ前の表の数値も同じ向きで、冷房設定温度の1℃が約30.24kWh、暖房設定温度の1℃が約53.08kWhです。期間の日数は資源エネルギー庁の記載で暖房169日、冷房112日となり、電気が動く期間は暖房側のほうが長くなります。
当サイトのエアコン電気代計算では、この冷房約13%・暖房約10%(1℃あたり)を計算式に入れています。「設定温度を何度ゆるめるか」を1℃か2℃に選ぶと、冷房と暖房のそれぞれの電気代が別々に変わります。
世帯は何℃に設定し、何時間つけているか(令和5年度)
環境省の調査(令和5年度)は、エアコンを実際にどう使っているかの分布を出しています。自分の入力が妥当かどうかの判断に使ってください。
暖房で最もよく使うエアコンの設定温度:
| 設定温度 | 18℃以下 | 19℃ | 20℃ | 21℃ | 22℃ | 23℃ | 24℃ | 25℃ | 26℃ | 27℃以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 構成比 | 4.4% | 3.1% | 13.8% | 8.0% | 16.6% | 15.3% | 11.7% | 10.2% | 8.0% | 8.7% |
冷房の設定温度:
| 設定温度 | 24℃以下 | 25℃ | 26℃ | 27℃ | 28℃ | 29℃ | 30℃以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 構成比 | 7.2% | 9.7% | 18.3% | 27.8% | 29.7% | 5.3% | 1.7% |
暑い時期(8月頃)の平日のエアコン使用時間(1台目):
| 使用時間 | 0時間 | 2時間未満 | 2〜4時間未満 | 4〜8時間未満 | 8〜12時間未満 | 12〜16時間未満 | 16〜24時間未満 | 24時間 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 構成比 | 2.8% | 5.3% | 9.3% | 24.1% | 20.1% | 16.0% | 12.3% | 10.1% |
出典:環境省 家庭部門のCO2排出実態統計調査「エアコンの使い方について」(令和5年度、単位 %)。いずれも「不明」の割合は省略しています。
読み取れることは3つです。
- 冷房の設定温度は28℃が最多(29.7%)で、27℃以下を合わせると過半になります。 環境省が室温の推奨値として書いている28℃と、世帯の入力値の山がほぼ同じ位置にあるということです。ただし推奨されているのは室温側の28℃なので、設定を28℃にすれば室温が28℃になるわけではありません
- 暖房は23℃以下が過半数、20℃以下は21%です。 環境省の推奨する室温20℃を、設定温度20℃以下として入力している世帯が5つに1つあることになります
- 使用時間の最多は4〜8時間未満(24.1%)ですが、分布は右に長い(16時間以上が22.4%)。 階級値で加重平均すると1台あたり約10.9時間になります。当サイトの計算機の冷房使用時間の初期値は、この加重平均値です
1の「28℃が最多」という点から、冷房の設定温度を1℃緩める行動は、すでに28℃にしている世帯では取り終えています。上の約940円は27℃を28℃にしたときの値なので、28℃の世帯が次に得るのは29℃に緩めたときです。1℃の効果は、常に 今の設定温度から緩める方向に動かしたとき の値として読みます。
買換えまで含めると「10年前比 約13%」
使い方だけでは足りないのが、古い機種をそのまま使っている場合です。資源エネルギー庁は機器の買換えによる省エネ率を、10年前の機器との比較で次のように公表しています。
- 今どきの省エネタイプのエアコンは10年前と比べると約13%の省エネ
- 今どきの冷蔵庫は10年前と比べると約15〜24%の省エネ
出典:資源エネルギー庁「機器の買換で省エネ節約」(2026年9月19日に確認)。
エアコンの約13%は、上の5項目のうち最大のもの(暖房設定温度の1℃緩和で約53.08kWh)と比べると小さい割合です。買換えは電気代以外に本体価格がかかるので、5項目を先にやってから判断してください。冷蔵庫の買換えの金額は冷蔵庫電気代計算で試算できます。
機器の省エネ率を語るとき、当サイトが困るのは「10年前比で何割」という割合だけが独り歩きしているケースです。2026年9月にこのテーマの上位ページを調べたときは、冷蔵庫の買換えについて約15〜24%とする庁の公表値より大幅に大きい割合を載せているページがありました。割合だけを書く記載は、どの機器の・どの年どうしの比較かを特定できないので、元の公表値に戻って確認するしかありません。このページでは、率を書くときに必ず出典の機器名と比較期間をセットにしています。
自分の冷房能力と契約単価で置き換える
このページの表は2.2kW・1日9時間という庁の条件で固定した金額です。自分の家に引き直すには、次の3つを入力し直します。
- 冷房能力:1畳あたりの目安ではなく、型番または室外機・室内機の銘板に書かれた冷房能力のkW。エアコン電気代計算では2.2kWから8.0kWまで9つの区分から選ぶと、省エネ型製品情報サイトに登録されている代表機種の中央値(冷房時・暖房時の消費電力Wと期間消費電力量)が自動で入ります
- 使用時間と日数:冷房と暖房を分けて入力します。日数の初期値は資源エネルギー庁の冷房期間112日・暖房期間169日、使用時間の初期値は環境省の分布から算出した10.9時間です
- 電気料金単価:目安の31円/kWh、カタログの年間電気代と同じ27円/kWh、契約中の単価を入力する「その他」の3通りから選べます
設定温度を1℃・2℃緩めた場合の欄もあるので、上の5項目を自分の前提で計算し直せます。扇風機を併用したときの電気代は扇風機電気代計算、テレビはテレビ電気代計算、家電まとめての見積もりは電気代計算を使い、機種別の消費電力量の基数は家電の消費電力一覧に載せています。
出典・データソース
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この記事が参照するデータ
よくある質問
- Q. エアコンの設定温度を1℃変えると電気代はいくら違いますか
- A. 資源エネルギー庁の試算では、2.2kWのエアコンで冷房設定温度を27℃から1℃上げた場合が年間で約30.24kWh・約940円の節約、暖房設定温度を21℃から20℃下げた場合は年間で約53.08kWh・約1,650円の節約です。いずれも1日9時間使う条件の値で、環境省が示す削減率(冷房時 約13%、暖房時 約10%)と同じ向き、つまり暖房のほうが絶対額は大きくなります。
- Q. 室温28℃と設定温度28℃は同じ意味ですか
- A. 同じではありません。環境省は「室温を夏季28℃、冬季20℃とすることを推奨しています(設定温度ではありません)」と明記しています。設定温度はエアコンに入力する値、室温は部屋の空気の温度で、外気温・日射し・建物の断熱性能によって両者はズレます。同じ設定温度にしても室温は家ごとに違うため、推奨値は設定温度ではなく室温側で示されています。
- Q. フィルターの清掃は電気代にどのくらい効きますか
- A. 資源エネルギー庁の試算では、フィルターが目詰まりしたエアコン(2.2kW)と清掃した場合の比較で、年間の電気は31.95kWhの省エネ、原油換算8.05L、CO2削減量15.6kg、節約額は約990円とされています。設定温度を1℃緩める効果(冷房で約30.24kWh)とほぼ同じ大きさで、購入や工事なしに実行できる点では最初の一手になります。
- Q. 冷房と暖房のどちらを減らすと効果が大きいですか
- A. 同じ1℃、同じ1時間でも、庁の試算は暖房側のほうが大きい額になっています。設定温度の緩和は冷房 約940円に対し暖房 約1,650円、1時間短縮は冷房 約580円に対し暖房 約1,260円です。期間の日数は資源エネルギー庁の記載で暖房が10月28日から4月14日までの169日、冷房が6月2日から9月21日までの112日で、電気が動く期間は冬側のほうが長くなります。自分の使い方の冷暖房で比べたいときは、冷房能力と単価を入力できる計算機で組み直してください。
- Q. 節約項目を全部やるといくら減りますか
- A. 資源エネルギー庁が公表するエアコンの5項目を単純に合計すると、年間で電気174.78kWh、節約額は約5,420円です。ただし5項目は算定条件がそれぞれ違い、冷房の設定温度と暖房の設定温度は別々の季節の話として数えられているので、同じ冬に同じ条件で積み上がる金額ではありません。自分の使い方で計算し直すなら、冷房能力と単価を入力する計算機を使ってください。